正欲 ~あらすじ、感想~

あらすじ

 不登校の子を持つ検事、寺井啓喜(ひろき)。生涯をかけて自分の秘密を隠しながら生きる桐生夏月(なつき)。学祭の実行委員を担っている大学1年の神戸八重子(やえこ)。この物語は主にこの3人の視点で進んでいく。寺井啓喜は横浜地検に勤めるエリート検事で不登校の息子を持つ。息子がYouTubeを始めることをきっかけに、彼の「普通」の概念が家庭とともに揺らいでいく。桐生夏月は広島のショッピングモールで寝具販売員として働く契約社員。中学校の同窓会で同級生の佐々木佳道と再会し、互いの秘密を共有し関係を深めていく。神戸八重子は大学生で学園祭実行委員。「多様性」をテーマにした学祭を企画しつつ、ダンスサークルの諸橋大也に惹かれていく。彼女もまた、「普通」とは違う自分の内面に揺れる。最初は何のつながりもないこの3人の人生がある事件と共に徐々に重なっていく。

感想

 この作品は朝井リョウさんによって書かれました。朝井リョウさんは現代を生きる若者が抱えるアイデンティティ不安や、世間とのギャップ、社会との葛藤などをテーマにした作風が特徴的です。この「正欲」は現代の「多様性」という言葉に一石を投じる作品といえます。私たちの想像をはるかに超える解像度の高い内面描写は一種の嫌悪感を抱かせるともいえます。その嫌悪感が自分に対してのものなのか、あるいは登場人物らに対してのものなのか、あるいは作者、はたまた言葉では言い表せない「何か」に対してのものなのか、読む人それぞれだと思います。読む前と後で私の多様性に対する考え方は大きく変わりました。これを読んだ後の私の考える多様性とは、自分が想像できないことを、肯定も否定もせずただ受け入れ、共に在ることを認めることです。あなたの多様性はどう変化するでしょうか。是非読んでみてください。

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